メッセージ

先輩インタビュー:正木涼子さんから皆へ

いつ頃からこの職業につこうと思いましたか?

小学生の頃から漠然と医療に関わりたいと思っていました。盛んに医療ドラマが放映され、阪神淡路大震災の医療活動などもテレビで見ていたので、自然と医療の世界が私の頭の中で広がっていきました。
また、母は私が幼い頃から人工透析を受けていました。そのことをはっきり知ったのは小学校3年生の時です。腎不全の患者の会で海外旅行した折に、初めて透析治療を受けている母の姿を見ました。母が透析を行っている間、旅行に同行してくれた医師から透析治療や患者会の話などを聞き、さらに医療に対して興味が湧いてきました。
本格的に医療を職業として意識したのは高校3年生の時です。医療職には医師や看護師だけでなく、薬剤師、臨床検査技師などいろいろな種類があります。しかし、私は看護や検査よりも治療に関わる仕事に携わりたかった。それで選んだのが、臨床工学技士という仕事です。母が通院している透析クリニックの臨床工学技士さんから手術治療や救急医療などで治療に関わる仕事をしていることを聞き、その職に決めました。私が治療にこだわったのは、透析治療を受けていた母の存在、また小学校の時に経験した祖父の介護などの影響が大きかったと思います。

 

臨床工学技士の仕事をどのように捉えていますか?

臨床工学技士は不思議な仕事だと思っています。学校では医療機器に関する工学を学びますが、病院という臨床現場では工学的なこと以外に、医療に関わることが多いですね。例えば、看護師はいろいろな診療科を担当しますが、仕事の基本はあくまでも看護です。しかし、臨床工学技士は看護に近づくことがありますし、治療行為にも参加します。つまり、患者さんといろいろな形で関わることができる。例えば、補助人工心臓植え込みやペースメーカをしている患者さんと接する時は看護的な要素が含まれますし、医療従事者とは治療はもちろん看護的、介護的なコミュニケーションも取ったりします。非常に幅広く医療に関わっていける職種だと感じています。

 

現在、企業の医療研修施設で働いていますが、どのようなきっかけで入社されたのでしょうか。また、どのような仕事をされているのか教えてください。

卒業後、すぐに大学病院に入職しました。8年間勤務した後、家庭の事情で滋賀県の実家に戻ることになり、次の就職先について上司に相談しました。上司は滋賀県の病院を当たってくれたのですが、病院以外にも企業の医療研修施設で女性の臨床工学技士を募集しているという情報を教えてくれました。それがニプロiMEPです。
一度話を聞いてみようと施設を訪れたところ、偶然、社員の方が研修している場面に出会いました。見た瞬間、私はこれだと感じました。病院に勤めていた時代、得意分野を持つことができずに自信を失い、どこかで基本からやり直したいと考えていました。ここならば臨床工学技士として学び直す機会になるかもしれない、と思ったのです。私は迷うことなくこの施設を選びました。
ここでの私の仕事は医療従事者を対象とした研修のサポートです。臨床工学技士の場合は「自社製品に関する研修」と「医療研修の提供」の2つがありますが、私は後者の方に携わっています。iMEPには二プロ製品だけでなく、心電図モニタや除細動器など様々な医療機器を揃えています。また、臨床工学技士だけでなく、医師や看護師などのスタッフもおり、様々な研修ができるよう、準備から研修のお手伝いをしています。

 

臨床工学技士に必要な資質とは何だと思われますか?

最も必要なのはコミュニケーション力だと思います。医療の現場は医師や看護師と共同で行われるので、相手の気持ちはもちろん仕事の内容もきちんと理解することが大切です。はっきりとした役割分担の中にぼんやりしている部分があり、そこを埋めて一つの輪にならなければなりません。「わかりました。私はこれができます、では、全員でどうしますか」といったようにお互いが理解し合い、補って行く必要があります。

 

今後、現在の仕事を通じて実現したい目標、夢などはありますか。

臨床工学技士の作業手順や動きなどを、第三者の客観的な視点に立って見られるようなトレーニングの場を作りたいと考えています。「知っている」ということと「できる」ということは全く違います。ある心臓外科の医師が「手術で一番早く上達する方法は自分の手術の様子を動画で見ることだ」と言っていました。これは自分が行ったことを振り返り、「できる」という次のステップにつなげるということです。
臨床工学技士も同じだと思いました。自分が治療中に行ったことの振り返り、それに対する厳しい評価がなければ成長はないからです。それには現場さながらの練習の場、それを評価して見返す場が必要となります。医療現場でそうした環境を作ることはとても難しいでしょう。私はそのような場を作り、提供していきたいと思っています。

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